自分とは全く違う人間が多い世の中で、どのように生きていくか悩んだ時に見るといいかもしれない映画「500ページの夢の束」。
およそ90分の中で登場するキャラクターが限定されているのでスッキリとした内容にまとめられています。
空いた時間に何かみたいなという時にちょうどいいと思います。
自閉症の女性の冒険
今回紹介する映画は「500ページの夢の束」。
2017年に公開、主演女優は「アイ・アム・サム」の子役だったダコタ・ファニング。
もうそんなに経つんですねとびっくりしたけど最初全然気づきませんでした。
物語自体はスタートレック大好きな自閉症の少女がスタートレックの脚本コンテストに挑戦するお話です。
筆者は自閉症に対して正確な知識はありませんが、映画でもテーマにされることが少なくありません。
自閉症である主人公のウェンディが脚本コンテストに挑戦するお話で、メインは脚本コンテストに挑戦するまでの過程。
アメリカ映画でたまに見る他の大作が登場する映画
アメリカの映画でたまにあるのが昔の大作映画やテレビシリーズを主人公の趣向などに扱った作品。
スターウォーズやスタートレックはそういった作品で扱われる映画ツートップでしょう。
いわゆるオタクの母数が多い作品というのは見ていてクスリとさせてくれる部分があるのでキャラクターへの親近感がわきやすく非常に見やすいです。
スタートレックを知らなくても大丈夫
ただ実際にスタートレックに関して全く知識がなくても大丈夫。
というのも作中にはスタートレックの知識が全くないキャラクターも出てきます。
運転中にスタートレックの超基本に対して質問した母親に息子が「車をぶつけて、一緒に死のう。」というなどアメリカンな返しもスタートレックが一つの文化として浸透しているという雰囲気を味わえます。
どこの国でもオタクってそういうものだから。
ままならない現実と成長
自閉症の女性:ウェンディは施設で暮らしており唯一の肉親である姉:オードリーと一緒に暮らしたいと考えていますが、自分の思い通りにならないことが起きると癇癪を起してしまうウェンディには常識的に考えてそれは無理だと周りは判断します。
オードリーは娘(ルビー)が生まれたばかりで、ウェンディを愛してはいるけど癇癪を起したウェンディがルビーのそばにいるのは危険だと感じています。
「どっちも愛しているけど」という葛藤ですね。
ウェンディを困らせる存在、飼い犬ピート
この映画の中で出てくる印象的なセリフの一つで「誰が世話をしているのか」「自分の世話は自分でできる」といったものがあります。
施設でサービスを受けているウェンディはいわゆる「世話をしてもらう人間」です。
1日のスケージュールを他人に決めてもらいその通り生活し、バイト先の斡旋を受け規則正しく生活。自分で決めてやっていることはスタートレックの脚本を書くことぐらい。
脚本コンテストに応募しようとしましたが郵送で間に合う日にちを過ぎてしまったため「直接スタジオに持っていこう。」と出発した時についてきたのが愛犬の「ピート」。
ピートはウェンディに懐いていますが犬なので思い通りには動いてくれません。
ここでウェンディは「お世話される側」から「お世話する側」になります。
モチロン自分のお世話もしながら。
ウェンディが遭遇する悪意と善意
旅の中でウェンディは人間の悪意と善意に遭遇します。
悪意が多め。
施設にいて規則正しく生活していた時には知らなった悪意にパニックになるウェンディ。
いきなり! 突然の悪意に見ていて衝撃を受けますが、アメリカの片田舎でこんな無防備にいたらこんな感じになるんかな…。と感じる一幕。
他にも小さな悪意と善意を受けつつ旅が進んでいきます。
あとから思うと途中から結構積極的に行動するようになっているウェンディにビックリします。
このさらっとした主人公の成長というのがいいですね。
本当に些細な出来事
実際に全体を見るとそれほど大きなトラブルや出来事は起きていません。
ただそれは一人の人間とその家族に大きな影響を与えて人生を変えていくことを教えてくれます。
世界を救ったり衝撃的なラストや見終わった後の達成感のようなものを求める方には向きませんが、些細な出来事が周りを少し変えていくというのが現実的で好感が持てます。
物語に大きな波がないので物足りなく感じるかもしれませんが見終わった後に穏やかな気持ちになれる優しい作品です。
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