「天地明察」にひたむきな姿を見る。




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いっぱいあり過ぎて逆に何を見たらいいか分からない、何だったら視聴可能な映画の一覧を15分ぐらい眺めて満足している人も少なくないでしょう。

そんな方に「これ見たら??」という事でオススメするのが岡田准一さん主演の「天地明察」

日本の暦の改定に挑んだ男の生涯を描いた作品です。

この映画を観るのにオススメな人

  • 時代劇が好き
  • 歴史にまつわるエピソードが好き
  • やる気が出ない
  • 難しい内容の映画は嫌い

冲方丁(うぶかた とう)さん原作の小説を実写化した作品です。

原作の大ファンである筆者が色々と紹介していきます。

この記事はネタバレを含みます。

目次

「天地明察」にひたむきな姿を見る

冒頭に書いた通り冲方丁さん原作の小説の実写化である本映画は岡田准一さんが主演で製作されています。

primeの見放題に入っている現在、おそらく岡田准一さん主演の「ザ・ファブル」の第二作が公開される影響で各サブスクに登場していると考えらえれます。

主人公は安井算哲(やすい さんてつ、原作だと改名後の名前の渋川春海)、貞享暦を作った史実上の人物です。

どこまで史実通りかわかりませんが、江戸時代の誤った暦の改暦に挑む男の物語という物語のスタートのほのぼのとした雰囲気とは裏腹に時代物として非常に骨太なテーマになっています。

ほのぼのとした時代劇映画が見たい方は岡田准一主演作品であれば2006年に公開された「花よりもなほ」がオススメ。こっちは完全なコメディー。

原作は暦の他に、算術、神道(宗教)、江戸の風俗・風習なども描かれているので難しいっちゃ難しいです。

それらのテーマとしては非常に重たくなりそうな内容を見やすく2時間21分にまとめていて、ボーっと見ていてもなんとなく理解は出来るし楽しく最後まで観ることが出来ます。

原作を読んでいる人の中には「内容が薄まっている。」と感じる人もいるかもしれませんが、原作はかなり分厚いので仕方ない部分はあるでしょう。

原作小説は歴史に残る名作

今まで読んだ小説の中で面白かったものを5つ挙げろと言われたら確実にランクインする面白さ。

人にも安心してオススメできます。

個人的には映画版を見てから原作を見るとより楽しめると思います。

というのも原作は登場人物が映画版ほど少なくなく、ある程度前知識があった方が入り込みやすいはず。

テーマの一つである「算術(数学)」が端々に出てくるので文系の人は敬遠してしまうかもしれませんが、

実際に読んでいる人間が問題を解くわけではないので

じゃーじ

江戸時代からこんな感じで数学やってたんだな~。

と、

これぐらいでフワッと楽しめると思います。

ちなみに私も文系なので作中の数式やら解に至るまでの細かい話はチンプンカンプン。

人間の挫折など紆余曲折と成長が描かれた作品

本作の主人公は結構失敗を繰り返します。

それこそ自分が恥ずかしいと思う些細な事から大衆の面前での大失敗などなど、そこから立ち直っていく様も見どころの一つです。

原作は作中で経過する時間が非常に長く、改暦を達成するのは主人公がかなり齢をとってからになります。

物語に登場した段階では20代前半ぐらいだったと思いますが、序盤のまともに刀を差すこともできなかったり服装がだらしなかったりといったわかりやすく未熟な部分が目立つ人物が、様々な経験を経た物語の後半になると後進を指導する立場になり政治的な化かしあいでも上手く立ち回る姿は読んでいる人間に感動を与えてくれます。

挫折と成長がセットで描かれている王道的作品と言えるでしょう。

特に異色なのが時代劇でチャンバラがないという事。

映画版はちょっとだけチャンバラシーンがあります。

※主人公は戦わない。

プロレスラーの武藤敬司さんが大活躍。

じゃーじ

あ~武藤さんこのシーンのために出てたのか。(納得)

ってなります。

原作と映画版はパラレルワールド※ネタバレあり

原作と映画版はいわゆるパラレルワールドです。

どっちが正しいとかではなくどちらも楽しく見れます。

原作読んでる人間として削らないでほしかった点をいくつか。

映画版は上杉鷹山公が出てこない

私は上杉鷹山を天地明察の原作小説で知ったので、映画版で出てこなかったが非常に残念でした。

原作小説では物語のかなり中枢にいると言えるので、上杉鷹山がいなくても物語が成り立っているのが逆に驚き。

映画版では「神道」の部分は完全に触れられていないので、多分そこらへんが関係しているのかなぁと思いました。

原作小説中では上杉鷹山絡みのエピソードがたくさんあるので、極端な言い方をすると全く別の話に感じる人もいるはずです。

主人公:渋川春海が一回しか結婚しない

原作小説では主人公の渋川春海は2回結婚して1回目に結婚した奥さんとは死別しています。

お兄さんの紹介でお見合いをして結婚し、体が弱い奥さんの健康を願って「健康にご利益がある神社」と聞けばあっちこっちに時間を惜しまずに祈願しに行ったという愛妻家としての一面を感じさせる筆者が大好きなエピソードがあります。

歴史上の人物で大きなことを成し遂げた人は異常なまでに一つのことに没頭しているイメージがあり、天地明察の渋川春海も算術の事となると周りの事が見えなくなる描写が作中にたくさんあります。

そんな中にあっての愛妻家エピソードは血の通った人間であると感じさせてくれます。

奥さんを亡くしてうちひしがれる部分は本当に悲しい。

その後、色々あって算術や仲間の助けもあって立ち直ります。立ち直る過程も素晴らしい。

関さんがちょい役過ぎる

天地明察の重要人物の一人、関孝和。

算聖とあがめられた上毛かるたにも登場する歴史的偉人で、映画版では市川猿之助さんが演じられています。

本作の中では非常な重要な立ち位置を占めており、主人公にとって算術において憧れでありライバルのような存在。

原作中では序盤は登場回数こそ少ないものの「謎の算術の達人」としてすさまじい存在感を放ちます。

主人公に挫折を与えもし、大きな助けにもなる人物なだけに映画でももうちょっと出てほしかった。

他にも変にチャンバラ入れるんだったら安藤さんとかもっと掘り下げてあげたらよかったのに…。

映画を観てから原作を読んでほしい名作

通常の時代劇としてであれば映画版「天地明察」も楽しく見れると思います。

ただどっちがオススメかというと圧倒的に原作。

序盤の検地でのエピソードが最後に絡んでくる感じは読んでいて気持ちがいいですし、史実上の人物が多く登場するので読んだ後でそれぞれの人物を調べたい衝動にかられます。

※あくまで史実をもとにしたフィクションなので、登場人物同士に実際の交流があったかなどは不明。

コロナでおこもり生活も続くのでこの機会に映画を観てから原作を読んでみてはいかがでしょうか。



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ぱじ山ねまきのアバター ぱじ山ねまき イラストレーター

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